「……あ」

「……あれ?」

「え?」











「なに…ここ……お前、お前たち、は…」





戸惑ったように周りを見渡す三人の視線が絡む。



「お前……痛っ!」



3人の表情が同じように歪み痛みに耐えるように頭に手をやり、そして。





「ルーク……!? それに……クレス!」

「ロイド……? ロイドじゃないか! ルークも!」

「クレ…ス、ロイド……?」



かつての邂逅が次々と蘇ってくる。











『――俺、お前みたいな友達が欲しかったな……』

『俺たちもう友達だろ?』



『わっ犬が喋った!』

『ミュウはブタザルでチーグルですの!』

『へー…変わった犬がいるんだな』

『た、多分、犬じゃないと思うけど』











ロイドが猛然と立ち上がり比較的近くにへたり込んでいた2人に走りよる。

「ルーク! クレス!! 久しぶりだな!!元気だったか? つっても今の今まで忘れちまってたけど……」



勢い込んで話すロイドに飲まれたようにルークとクレスはこくこくと頷くばかりだ。



「ろ、ロイド……俺も今まで忘れてた…」

「僕もだよ」





呆然という言葉がぴったりな3人だった。

なぜ再び会えたのか、そもそもここはどこなのか、まったく分からないけれど

そんなことはどうでもいいくらいに嬉しい。

しばらく予期せぬ再会に湧いていた3人だったが、徐々に落ち着きを取り戻していった。



「なんでまた会えたんだろうね」

「またこの世界がヤバい……とか?」

「あー……まぁその時はまた何とかなるだろ!」



ロイドの相変わらず前向きな言葉に思わずクレスとルークは笑いを溢した。



「前の時は皆戦いの最中だったけど……2人とも決着はついたのかい?」



クレスの遠慮がちな言葉にルークは何とも言えない表情をした。

それはとても気になったけれども、ロイドが口を開いたのでそちらに意識を移す。





「終わった、と言えば終わったし終わってないといえば終わってない」





ルークが首を傾げる。



「大いなる実りを目覚めさせて世界統合できた。

ただ……世界中に散らばったエクスフィアを集めねぇと、な」



以前ほんの少し聞いていたエクスフィアの話。

その切ない経緯を思い出してクレスは頷いた。



「そうか。ロイドは取りあえず一区切りってことだね。僕は……うん。僕も決着はついた」

「クレスもか」

「うん」



……散り散りになってしまったことが、どうしようもなく切ないけれど。



「ルークは?どうなったんだ?」



ロイドが水を向けるとルークは小さく震えた。







「俺、は……。終わった、と思うけど……」





はっきりしない答えと視線を伏せたままのルークの様子は決着がついた割に釈然としない態度だ。



「ルーク……何かあったのかい?」





そろりと視線を上げたルークは酷く困惑を滲ませていて一体どうしたんだろうと思う。



「師匠を、倒して……ローレライを解放した」

「凄ぇじゃねぇか!」



あぁ、と言い小さく「でも」と言った。





「俺、俺は多分そのとき……乖離しちまったんだと、その、つまり死んじまったと思う」



耳慣れない乖離という単語とその後の言葉に2人は咄嗟に反応できなかった。

ただ前回の邂逅でレプリカについて少し聞き及んでいたのでそれに関することなのだろう。



「それに、アッシュも……」





衝撃的なルークの言葉が続く。

クレスには信じがたいことだった。

ルークはこうして、確かに、目の前にいるのに……。



「待てよ、それおかしいじゃねぇか」

「え?」



ロイドがルークの手首をガシッと握って納得いかないとばかりに言い募る。



「ルークが死んだってなら、ここにいるお前は何なんだよ。

俺と、クレスとこうやって話すお前は! 生きてるじゃねぇか!!」



「だ……って」





乖離が。





「違う! まだ可能性はあるんだ!!

ここにこうしているんだ、死んでなんかない!! お前が信じなくてどうするんだよ……。

どうしても、どーしても、お前が信じられないって言ったとしても、誰も信じなくても!

俺はルークが生きてるって信じてるっ!! アッシュだって!」



胸ぐらをつかまれて半ば無理矢理立たされたルークはただただ呆然としていた。







なんで、なんで?





そればかり頭をぐるぐると回る。







俺は確かに、だって……。



混乱してロイドが手を離したことにも気付かない。

左肩に何かを感じてそちらを見ると、クレスが柔らかく微笑んでいた。





「ルーク、君は確かに死ぬぐらいのことをして今それに近い状態なのかもしれない。

……でも、こうして僕らと話してる。これって凄いことだよ。希望を持つんだ。

君は今、確かに生きてる」



生きてる。

まだ俺は生きられる?









「これ、夢なんじゃねえの……」

「あーもう!これでもそんなこと言えるか?」



むにっと両頬を捕まれて左右に引っ張られる。



うにうにと伸ばされて痛い。





視界が歪む。



「いてぇ…」

「あぁ」

「いてぇよ、ばか……」





痛いと感じる、感じることができる。

夢なんかじゃない。







「さ、夢じゃないと実感した所で……って、ロイドいつまでも引っ張ってるとルーク痛いと思うよ……?」

「いやだってさ、クレス。こいつのほっぺた物凄い伸びておもしれ〜」

「へ、へぇ。……あ、本当だ」



クレスもふにっとつまんでみると確かによく伸びた。



「クレスまで〜…」

「ははっ、ごめんごめん。つい楽しそうだったから。

それよりお腹減らないかい?多分それ位の時間だと思うんだけど……」





ぐ〜。





クレスでもルークでもなく、ロイドからそんな音が聞こえた。



「はらへった! 飯にしようぜ! えーと俺なんか食材持ってたっけなぁ」

「僕は残念ながらグミ類しかないよ。狩りに行くかい?」

「ん〜ちょっと待ってくれ。多分ある」



ごそごそと服から小さいものを出して明らかにそれより大きな食材袋を出したから2人は驚いた。

えっそれどうなってんの!? な心境だ。

さらに鍋やら皿やらいっぱい出てきて開いた口が塞がらない。





「すげー! ロイドっそれどうなってんだ!?」

「これな〜驚くよな! 俺も最初びっくりした! 

ウィングパックっていうんだけどテセアラのものだから俺もよく分かんねぇんだ」





分からないものを使っているのか!? とクレスは突っ込みかけたが口には出さなかった。




















ファンダムvol.2 4周年おめでとう話。
4年……だと……。
3周年の時にUPし忘れたとか、そんなことはありません!!




2011、6・11 UP