「ん……」

柔らかなものが触れて、優しく啄んでいく。

離れては、近付いて。

近付いては、離れて。



この溶けてしまいそうな幸せがルークは好きだった。

抱きしめられるのも好き。

だから、離れない。離れたくない。



最後に少し長く口付けて、アッシュが離れていく。

「…や」

もっとこの心地よさを、アッシュを感じていたい。





「もっと…アッシュ」





アッシュを見ると少し困ったような顔をした。微かな変化だけれどそれを見逃すルークではない。



「どうか、したのか?」

「いや…」



否定しつつ何かアッシュは耐えているように見える。

一体何を?

こんな様子を見せるとき、それはルークを思って何かを我慢しようとしているのだと知っている。

「アッシュ…」



そんなのいいのに。

何を我慢しているか分からないけど。



「…知らねぇからな」

そう言ってアッシュは口付けてくる。嬉しくて心に暖かなものが広がっていく。







「…っ?」

なんかいつもと違う。何?

アッシュの。

アッシュの、が。



「…ぁ…っ」



深く深く口付けられて何が何だか分からない。







何だこれ。こんなの知らない。





アッシュ、アッシュ。







「あ……しゅ……っ、ん」



「いやか」

口は触れ合わせたまま。その動きさえも今のルークにとって未知のもので体が震えてしまう。



いや?アッシュが?そんなの。そんなこと。

ある訳がないじゃないか。



「…や、じゃない……。で、も…」

「でも?」

「背中がぞわぞわって…体がなんかおかしくなって……こ、怖い」



知らない事態に意識がついていけない。アッシュが怖いんじゃなくて自分が自分じゃなくなるようなそんな感覚が。

そんな感じたままの感想を口にされてアッシュは隠しきれない程の喜びが込み上げてくるのを感じずにいられなかった。





それは恐怖ではなく。





「それは気持ちいいっつんだよ」

「きもちいい?」



よく分からないと言いたげなルークの背筋を上へするりと撫でた。

ぴく、と反応して戸惑ったようにアッシュを見つめる。

それに拒絶の色がないのを見て取りアッシュは軽く微笑み白い首に唇を寄せた。



「ん……っ、アッシュ?」



何をしているんだろう。そんなことを思っているとアッシュの口が動いた。

やわやわと撫でるように肌の感触を確かめるように。

そんなことをされたルークはこそばゆいようなゾワリとするようなそんな気持ちに襲われて、もうどうしようもない状態だ。



「ぁ…っ!」

ぺろりと舐められて抑え切れない声が口をついて出た。



「な、なんで……んっ」



自分の出した声に混乱している間に一際強く吸われて体から力という力が抜けおちた。

ふにゃりとした体を支えて耳元で囁く。

「気持ちよかっただろう?」

その声にさえも反応してしまって、考える。



今のは何?分からない。知らない。

気持ちよかった?嫌じゃなかった。ぞわぞわして変な感じだったけれど。



「気持ちよかった……?」

疑問系なのはしょうがない、こんなの知らないし感じたこともないのだから。



それでもアッシュはそれで満足なようで触れるだけのキスをしてぎゅう、と強く抱きしめた。





「いつまで保つか…分かんねぇな」





呟かれた言葉の意味は、分からなかったけれど。







アッシュは聞いても教えてくれなかった。











アッシュ頑張れ!







2007 10・3 UP