前触れもなく突然に、後ろから苦しいくらい抱きしめられる。

何か言おうか、と思ったけれどやめた。

こいつがこうする時は決まっているからだ。

「俺のこと、すき?」



なにか、不安なときだ。



「……あぁ」

「…本当にか?」

「どうした」

回された腕と身体がかすかに震えたのが背中越しに分かる。



「…今度は何を抱え込んでやがる?」



びくっと先ほどより大きく体が反応して、ぎゅっと強く抱き付いてくる。

額を押し付け、緩く息をついて。



「なんでも…ない」





そんな声で俺が信じるとでも思うのか。





「言え」

「……なんでもないって言ってんだろ…っうわ!?」



素早く体を反転させて足払いをかける。予想していなかった事態にルークの体は傾いだ。

床に叩き付けられると思ったのか無意識だろう、俺の服を掴む。







「……?」







ぎゅ、と固く閉じられていた瞼がそろそろと開かれていく。その先に見えるは自分と同じ色。



「俺に嘘つこうってのか?」

「あ…」

柔らかなソファの上に押さえつけて目を合わせ、さらにルークの頬に右手を沿え、腰を引き寄せる。





「もう一度聞く。…どうした」

「…んでもねーって……んぅ?」



嘘ばかり吐く口を自分の口で塞いだ。



いきなりのことに驚いたのか一瞬動きが止まったが、すぐに抗議するように髪を引っ張りだした。

そのまま回線を繋げるとルークがびくっと反応する。



(何っ、すんだよ…っ!いきなりキスしてきたり回線繋いだりっ!訳分かんねー!アッシュ!!)

ここぞとばかりに文句を言ってくるが無視。



自分が探しているものを探す。







(アッシュ!聞けよ!)





(……)



(ア ッ シ ュ !!)

(うるせぇ)





ルークの文句が煩くて回線から深層心理が読めない。



なら。



触れるだけだったのを深いものに変えた。

(ぁ…っ)

そう、考えさせなければいいだけの話だ。



ごちゃごちゃだった感情が違うものに塗り替えられていくのが、つぶさに伝わってくる。







ルークの思考が。









気持ちいい、と、アッシュ、だけになる。









そうだ、俺のことだけ考えればいい。

ルークを味わいながらルークの心の奥深くにあるだろうものを探っていく。





―見つけた。







回線を切り、唇も離しルークの顔を見る。その表情は扇情的。



さら、とソファから流れていく朱色の髪を掬って、言う。



「自信がない、だと?」

「…っ」

「なぜだ?」

潤んだ目を伏せて、答える。

「わ、かんね……。ただ、ないんだ」



まったく、こいつは。



「ならば俺がそれをやる」

「……へ?」

自信って貰うものだっけ?

そんな顔で俺を見つめてくるから、なんとなくキスをした。



「お前は俺を惚れさせたたんだろうが。自信を持ちやがれ」

「な……惚…っ!」



「違うか?」

「ち…違わないと、いいなーと、思いま、す」



真っ赤な顔で、俺を、見る。





俺のレプリカ。



同じで違う。俺達は。





ゆっくりと顔を近づけて。







「俺を惚れさせたんだ、覚悟しろ」





囁いた。
















どうやってこの台詞をアッシュに言って貰おうかと楽しく書きました(ぇ?)



選択課題・恋する台詞「俺を惚れさせたんだ。覚悟しろ」 お題サイト…リライトさま

2007 5・7 UP