ルークが不思議そうに首を傾げている。
だが、俺はそれどころじゃない。ちょっと待て……なんでそうなってるんだ。
混乱した頭で部屋の前を通りかかったメイドにガイを呼ぶように頼む。
しばらくして来たガイに。
「っ!? アッシュ様!?」
殴りかかった。
(よけられたがな!)
「お前のせいでルークが変な言葉になってんじゃねぇか!」
ガイはえ? という顔をしてルークを見た。
「ルーク様の言葉が……? いや、でもそんな変な言葉を話しているようには……」
本当にそう思っている感じのガイに分からせる必要がある……。
ぺたりと絨毯に座ってチーグルのぬいぐるみと戯れているルークに呼びかける。
「う?」
「ルーク、俺はなんて名前だ?」
少し考えるようにして。
「あっしゅ! アシュさま!」
……これだ。
なんで二種類になってんだ。
あれだ、多分ガイが様付けしてるからだ。
ゆらりとガイを見ると見事に固まっていた。
「わかったか?」
「あ、いや、はい……すみません…?」
謝罪が疑問系になっているが、まぁいい。
まさかルークにこんな勘違いをさせるなんて思いもしなかっただろうし(というか俺も思わない)。
でも考えてみれば一番長く一緒にいる人間の言葉を覚えるのは自然なことだ。
……決めた。
「ガイこれからお前は俺たちに敬語禁止だ!」
ガイは何を言われたかわからないとばかりに動かなかったがその直後に激しく頭を振った。
「ムリです!」
「もうきめた」
「旦那さまやラムダスさんに怒られますって! 俺が!」
しょうがない。
俺たち以外いない時に限定してやる。
……文句は言わせねぇ!