髪が流れ落ちる。多分ロイドの視界は赤で埋め尽くされているだろう。







「ゼロ、ス?」



「何回言ったらわかってくれるんだろーね。ロイドくん?」



「何がだよ。さっきのならちゃんと返事しただろ?」



「さっきの、ねぇ」







――ハニー、愛してるぜー





――はいはいわかったよ









「いいや。お前は、なーんにもわかってねーな」

「なんだよ。じゃはっきり言ってくれよ」



この状況で、なお不思議そうな顔をするロイドを見て少し力が抜けそうになった。

しかし今脱力してはいけない。



「んじゃーはっきり言おう。俺はお前が好きだ」

「だから、それは知ってるって」





今度こそ力が抜けた。





が、完全に力を抜くとロイドを潰してしまうので少し加減をしながら脱力した。



「なんだよゼロス。重いし髪すっげージャマなんだけど……。どうしたんだよ?」







どうしたもこうしたも。



お前にはどう言えば伝わるのかっていう、ただそれだけでこうなってんだよ。







さて、どうするか……。

ふとロイドの首が目に入る。

特に何かを考えた訳ではないが、なんとなく首元のボタンを外してみる。

ロイドが不思議そうな顔をしているが、無視だ。



いつも布で覆われているためか、白く見えるそこに唇を寄せた。





「なっ、なにして……っゼロス!くすぐったいっ……」





じたばたと動いているのが面白い。

何をしているわけでもない。ただ首筋に触れているだけだ。







「もー離れろよ!」

「はいはい、りょーかい……っと」

「痛っ」





離れる寸前に印をつけた。不服そうに体を起こしたロイドが首を撫でている。



「なんかちくっとしたけど、まさか噛んだのか?」

「んなわけないでしょーよ。まー少し赤くなるかもな」

「……お前が何したいのか全然わかんねー。これなんか意味あるのか?」







大ありだよ。







「俺は教えなーい。考えな。あー間違っても天使サマやリフィル様に聞くなよ。

あと、がきんちょとコレットちゃん、しいなもな」

「なんだよ、それ。じゃあリーガルならいいのか?」

「まず考えろって」







さぁ、どういう目が出るかな?




















鈍いロイド。





2012、8・5 UP