TOWレディアントマイソロジー2設定です。









「お、おいっちょっと待て!」

「待たねぇっ!」



アッシュの手をむりやり掴んで廊下を走る。

アッシュ、俺はどうしても諦め切れないんだ。

どうして一緒にいちゃいけないんだ?



「やめろ、ルーク!そんなことをしても無駄なんだ!」

「なんでそう言いきれるんだよ!俺は、俺は、こんなのイヤだ!」



双子なのに双子だったと知らなかったこと。

一緒にいられないこと。

お互いを知らずに過ごしていた17年。







なんで、



なんでなんで!







「こんなの、こんなの……」

「ルー……ク」

涙が滲んできて足をとめる。

違う。泣きたいんじゃない。

「……俺はここにいてはいけない」

「なんでっ!ここはお前の家だ!」

「俺はこの家にとって存在してはいけないんだ!公爵家にとって俺は、ただの替えにすぎない……」

ぐっと唇をかむ。

なんでそんな風になっちゃったんだ。こんな不自然なこと誰が決めたんだ。

「それでも、俺はあきらめない」



だって俺は知ってる。アッシュのことをずっとずっと思ってる人がいることを。



「アッシュ、こっち」



屋敷が騒がしい。どうやら俺がアッシュを連れてきたことが広まったみたいだ。

人気のない所を選んで目的の部屋へ。



扉をノックして入室の許可を得る。



「ちょっとここで待っててくれ。すぐだから」

「しかし」

「どっか行ってたら怒るかんな!」



渋るアッシュをどうにか言い含めて部屋に入った。

これでどっか行ったらマジでキレる。











「ルーク、帰ったのですね。それに……この騒ぎは……どうしたのです?何かあったのですか?」

「母上、母上なら認めてくれますか」

「ルーク……?」

困惑する母を見つめる目に力がこもる。

「母上は俺を見るとき、時々悲しそうにするときがありますよね」

「ルー…ク、何を……。いいえ、そんなことはありません。気のせいです」

「母上。俺は母上がある方向を見て泣いていたところを見たことがあります」

「な……」



衝撃を受けたのか母上の顔色が白くなっていく。

違う、母上を責めたいんじゃない。

あぁ、でも俺のこの言い方じゃそう受け止めちまうかもしれない。

母に近づいて冷たくなってしまった手を握る。



「違います、母上…。俺は母上を責めたいんじゃないんです。すみません。俺、今ちょっと焦ってて……」

「……そうですか。あなたは知ってしまったのですね…」

母上の手が俺の頬を撫でる。何度も、何度も。

「はい……」

母上は悲しそうな顔をしていた。

あぁ、やっぱり。







扉を開けるとアッシュはちゃんといた。

それにちょっとほっとして息を吐きながらアッシュの手を掴んで引きずるように。

アッシュを視界にとらえた母上がはっとしたように両手を口に添えた。

うん、驚くよな。ごめん、母上。



「アッシュ。母上だ」

「…!?」



心底驚いたのだろう。

アッシュの動きが止まった。呼吸さえも。



「母上、認めてほしいんです」



もう、離れ離れなんて耐えられないから。



「あ……アッシュ…アッシュなのですか……?」

母上が半ば呆然としながら手を伸ばす。

未だに動けないアッシュはそのままだ。

「アッシュ……!あぁ、大きくなりましたね……。また、またあなたに会えるなんて…」

みるみる涙が溜まって母上の白い頬をすべり落ちる。

「アッシュ、アッシュ。母を恨んでいるでしょうね。ごめんなさい、ごめんなさい……!

貴方にもルークにも、酷いことをしてしまった…」

何かで吹っ切れたのか、母上はアッシュを抱きしめたまま泣き出してしまった。



「あの、母上……アッシュが驚いていますから……」



そっと母上の肩に手を添えてみると、すんなりと離れた。どうやら体に力が入らないようだ。

「そう…ですね。アッシュにとって私は初めて見るようなものでしょうし……いきなりごめんなさい」



「アッシュ。アッシュ……いつまで固まってんだよ」

頬を軽く叩いて硬直を解こうとした、のだが、よほどの衝撃なのかうんともすんとも言わない。

「おい!アッシュってば!あー…だめか……こうなったら…」

少し下がってアッシュに向かって飛びついた。これで回復しなかったら嘘だ。

「アッシュ!」

「っ!ル、ルーク……」

「目ぇさめたか?」

「わ、悪い……」

「あんまり動かねぇから、ちょっと心配した……」



そう言うとまだぎこちない動きながらも微笑んで頭を撫でてくれた。

俺が兄だなんて絶対何かの間違いだ、とこういうとき思ったりする。



「まぁ…仲が良いのね」



「母上。俺はアッシュと一緒にいたいです」

「ルーク……」

「17年離れてたんです。お互いのことを知った今もう離れたくないんです!」



アッシュの右手をしっかり掴んで。





「俺は…俺は……双子の兄弟がいたなんて知らなかった。

屋敷で何をしても退屈で、何か、何か足りないっていつも思ってたんだ!

それはアッシュだったんだ。いるべき片割れが居なかったから……!」





アッシュが驚いたように俺の顔を見る。

本当のことしか言ってない。俺はいつも何かを求めてた。



「本気、なのですね……分かりました」

「母上!じゃあ!」

「私は元々あなたたちを引き離すことに反対していました。

いまさら何を言っても言い訳にしかなりませんが……」



目を伏せる母上から嘘は感じられない。



「今、私にできることをしましょう」

「ありがとうございます!母上!!」

「……いいのですか」



アッシュが始めて母上に話しかけたからちょっと俺はびっくりしてしまった。

「俺は、ここにいては……」

「アッシュ、あなたは紛うことなき私の子。いいのです。いえ、どうか……ここにいてください……」



母上は俺とアッシュを見て言った。

お帰りなさい、ルーク、アッシュ、と。



















これから波乱万丈な気がします。(続くかは別で…)

2009 2・11 UP