俺は多くのものを与えられて生きているのだと、そう思うんだ。





姿かたち、この体を作る情報はアッシュのもの。

身分は代々譲られてきているものだから、これも自分で培ったものじゃない。

家も同様だ。





それを聞いたアッシュは言った。「俺も同じようなものだ」と。

自分を形作るのは両親からのもので、身分と家は当然ながら同じだと、そう。





うん。そうだよな。卑屈になってそう言ってる訳じゃないよ。

あ、わかってるって?





そっか。





でもな、心って、唯一与えられたものじゃなくて本当に自分だけのものだと思えるんだ。



人の心は思い通りに行かないっていうし、それって完全にその人のものだからだろ?



胸張って言えるよな。



これは俺だけのものだー! ってさ。







でさ、俺はアッシュが大好きなんだ!



心からそう思うんだ。それってほんとに俺はアッシュが好きなんだなーって思う。





あれ、なんつー顔してんの?











「言うだけ、言って、戻りやがって……」



アッシュは疲れたようにベットに腰かけ深く息を吐いた。



(あいつ……自分がどういうこと言ったかわかってるのか? いや、深く考えてねぇな。たぶん)



そのまま体を倒し沈む。

まだ衝撃が去らなかった。





あの発言はルークは自分の全てで己を想っていると宣言しているようなものだ。





「くっそ……」





やられた、と思った。




















thread and thrum
すっかり、全部、なにもかも。





2013、11・23 UP