ルーク屋敷時代レプリカ自覚あり。

アッシュがこっそり会いに来た日。










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さら。

さらり。



飽くことなく髪を梳く。







さら、さら。







「キレーだなー…アッシュの髪……」

俺とは全然違う。なんでだろ。と呟いた声に呆れたような声が被さる。



「お前髪を濡らしたまま寝たりするだろう」

「う」

「ついでにそれで風邪を引く」

「うぅっ……何も言い返せねぇ……!だって眠くなんねぇ?風呂あがりで体ほこほこだぞ?」

「ならんな」



そんな会話を挟みつつもルークは梳く手を止めない。



「でもさ、もしちゃんと乾かして、手入れしてもこんなサラサラな髪じゃねぇと思う。俺の髪」

「……?」

「ほら、こんなだし」



左手で自分の髪を引っ張る。

こういう時髪が長いと便利だなぁと何ともなしに思う。

相手に見せやすいし頭が引っ張られることもない。



「別に痛んでる訳じゃねぇだろう」

アッシュは手にとって撫でてみるが、痛んでる様子も見られずいつも通りのルークの髪だ。

「ちーがーう〜!全っ然手触りが違うっ!そりゃ手入れの差もあるだろうけどっ!それ以前になんか質が違うっ」



完全同位体なのだから髪質は同じはずだが…と思いつつ声には出さない。

基本は同じだろう。ではなぜ違う?



「やっぱ色だけじゃなくて質も劣化してんのかなぁ…俺」



う〜ん、と考えながら自分の髪を見る。別に卑屈になっている訳じゃない。

色は明らかに劣化の影響だと思う。これはレプリカとして生まれた以上仕方ないかなぁと思う。



「でもやっぱアッシュみたいにさらさらが良かったなー」

「お前の髪は柔らかいな」

頭にぽふりと手が置かれる。

「そうか?」

「ああ。俺の髪はこんなに柔らかくない。ふわふわしてもいない」

「……」





これはどう反応したらいいんだろう。けなされてるのか?

でもアッシュがなんだか楽しそうだ。





「俺はお前の髪の方が好きだ」

「え?」

「それに…お前が俺のような髪だとしても、多分、似合わん」



想像してみる。



「………そうかも…」

同じ顔だというのに、なんだかしっくりこない。



「俺の髪、好きか?」

「あぁ」

「そっか!!じゃ俺も俺の髪好きだ!」

「なんだその理屈は」



微かに笑うアッシュに飛びつく。

ベットの上にぼふりと二人で倒れこんでクスクスと笑いあった。



退屈な日常もアッシュが来るだけで綺麗に色付いていく。

あぁ、早く自由になってアッシュと一緒にいたいなぁ。

















ほのぼのごろごろ。





2008、11・26 UP