「いっ、いってぇええー!!」

「何してんだお前」

「ちょっとこの本取ろうとしただけだっつーの!」



ほらっこれ! といって見せられた本は他愛のない小説だった。



「あーもう、なんで本棚一列全部降ってくんだよー…。

こんなギッチリ詰めたの誰だ…。あー足直撃……」



一冊だけ引き抜くつもりだったのにバランスがくずれたのか20冊ほど落ちた。

ぶつぶつ言いながら拾おうとしゃがんで本についた汚れを払う。

不服そうな態度と裏腹に本を扱う手はひどく優しくてそのギャップに笑いそうになる。





いや、本を大事にするのはいいことだ。





そう思いつつアッシュも拾うのを手伝う。



「あ、アッシュ、さんきゅ」





礼に答えようと何気なくルークを見て不覚にも少しぎょっとした。





「……おい」



「んあ?」





「……腕」



「腕? 腕がなんだって……って、うおぁぁぁあああ!? は!? なにこれ!? いつのまに!」



右手の肘から手首にかけて赤い線が走っていた。

本が落下してきた時に擦れたのだろう。

四隅に金属がついてる本もいくつか落ちたようだったから、多分それで。



「うわ、全然気付かなかった。………アッシュぅ」

「なんだ、痛ぇのか?」

「や、痛くなかったけど……自覚したら痛くなってきた気がするー……。

踏んだり蹴ったりって、こういうこと、だよな……」



見るからにしょんぼりとした風情のルークを見ていると、なぜかアッシュの胸もしくりと痛んだ。



自分だって本を読むつもりで怪我をしたら大なり小なりショックだ。

ただ、本を読もうとしただけなのに、と。



「俺はちょっと本読もうかなぁ〜って思っただけなのに!!」







思うことは、同じ、か。







それでも取り合えず本棚に直す。



読もうとしていた本を戻したところを見るとそんな気分ではなくなったようだった。





「あ〜もうなんか最悪……」

アッシュの座っているソファの隣に薬箱を持って沈みまじまじと右手を見る。



アッシュも気になるのか、腕をみていた。



「そんなに酷い傷じゃねぇな。2,3日したら治るだろう」



「そんな感じだな。取り合えず左手じゃなくてよかったぜ。書類書きにくくなるもんな」



「……怪我すること事態、良くはねぇ」



「うん。分かってる」





喋りながら処置を終え薬箱を閉める。













「あーヒマ。もう本読む気にもなんねぇし。アッシュなんかしようぜ!」





構え!と全身で訴えてくる姿に苦笑が浮かぶ。





「痛いんじゃなかったのかよ」

「え、あ、もう全然へいき……じゃねぇけど、そんなに痛くねぇから、さ!」







遊ぼうぜ!

仕方なさげにするアッシュだったけど、断られなかったので気分は一気に急上昇した。



















いつの拍手かすら忘れたシリーズ(…)
ふんだりけったりなルーク。
でもその後アッシュに構ってもらえたので気分急上昇して、うれしくて飛んだり跳ねたりする。




2011、2・2 UP