「なぁアッシュ、お前7歳の誕生日…でもなくていいや、7歳の時のことって何か覚えてる?」
唐突にルークはアッシュにそう尋ねた。
「何を突然言い出すかと思えばそんなことか。知ってどうする?」
「別にどうもしないけどさ…。知りたいなーと思って」
するとアッシュはため息をついて壁に背を預け、少し記憶を辿る風な仕草を見せた。
ルークはそれを見つつ、宿に備え付けられているポットからお湯を入れ、二人分の紅茶を淹れた。
「そう、そうだな……7歳といえば、わざわざ叔父上が言祝ぎを伝えたいと、王城に登城するようにとの仰せがあった年なような気がする」
「7歳で登城って……早すぎねぇ?」
それにはアッシュは肩をすくめただけで答えなかった。
そしてお前はどうなんだと返す。
「お、俺?」
「まさか、覚えてないとか言うつもりか、この屑。ついこの間だったろう?」
「ばっばかにすんなっつーの!ちょっと待てよ……」
ううんとルークは唸り目を彷徨わせる。
そして困ったようにアッシュを見て「別に特別なことはなかった、はず」と歯切れ悪く答えたのでアッシュは意外だった。
17で旅立つルーク、これは国の繁栄を約束する旅立ちのはずであったのだから、さぞ盛大な催しが行われたのだろうと目星をつけたのだが、どうやらそうではなかったらしい。
「えっとな、いつもより知らないヤツからの、って父上の知り合いだろうけど、贈り物は多かったな。
ナタリアも祝いにわざわざ来てくれたけど、それは毎年のことだったし……」
「そんなもんか」
「そんなもんだったよ。屋敷から出られねーのにそれ以上やりようもなかっただろうし」
「本来なら盛大なパーティーでも開かれたはずだな。旅立つ年だったんだから」
そう、なんだろうな、とルークは静かにこぼした。
「7という数字は、俺たちにとって切り離せないものだ」
「なんで? あーローレライ?」
それにアッシュは頷く。
「さっき俺が言った登城の話だが。あれは俺がローレライと同じ『7』になったから呼ばれたんだろう。
そして国の命運を分けると詠まれた年齢もまた17。ほとほと7に縁がある……。お前もいま7歳だしな?」
「7歳っていうなー!」
ガッと噛みつきそうな勢いで身を乗り出したルークに口の端で笑う。
ルークは不服そうにしながらもそれ以上何も言わなかった。
「まぁ、俺たちがどうあがこうと、世界は動く。それがローレライを象徴する数字と関係あるのかないのか知らねぇがな」
「うーん、なんか納得できねぇ気がする。それだと俺らが厄介事引き寄せてるみてぇじゃん?」
「ふん。んなもん逆に引き寄せちまえばいい」
「は?」
「引き寄せて、それをどうするかを決めればいいだけだ」
サイト7周年の日に日記にかきました。アッシュがなんか俺様みたいなこと言ってる。笑
2012、2・26 UP