「ルーク」

『なにアッシュ』

周囲をくるくる回る小さな光が答える。





「こい」





手を伸ばしそう呼びかけると光はくるくる回りながらゆるりと形を為していき淡く光を放つ人の形へと。

まだ形が完成していないにも関わらずアッシュはその光を抱き込んだ。

腕の中で光ははっきりとした輪郭を描いていく。





『疲れてんな、アッシュ』

「あぁ……」





完全に形を成したルークがアッシュの頭に腕を回し労るように撫でる。

ふわふわと撫でられると荒んだ心が癒されていく気がするから不思議だ。





『あんま頑張りすぎんなよ……俺、手伝えればいいのに。ごめんなアッシュ』





奇跡的に再び戻ってきたものの、乖離が進んだ体は完全には戻らなかった。

人の形を保ち続けるには圧倒的に音素が足りないのでルークは普段、

光玉の形を取っている。



強く願えばこうして人になれるがその際も第7音素特有の淡い光が体を包む。

言うなれば小さな小さな音素集合体。



「……んなことを気にすんじゃねぇよ」

『うん……』





それでも浮かない顔をするルークに口付ける。





『ん……』





はぁ、と熱い息を吐き出して。感情に比例するように淡い輝きも瞬く。



この腕の中に還ってきた、それだけで俺がどれだけ救われたかこいつは知らないのだ。

いつも申し訳なさそうに謝罪してくるがそれはまったくの勘違いだ。





「お前はここにいればいいんだよ」

『ありがとな、アッシュ。

俺……こんなんなっちまったけど、それでもアッシュといられて嬉しい』





普通の状態でも関係でもないけれど、2人は確かに満たされた思いを抱いている。

それだけでまた明日からも頑張れる気がした。



















…えーと。救われてるのか救われてないのか……。
アッシュの周りには常にルークがくるくるしてるんです。
何もしらない人から見たらそれはそれは神々しく見えているようです(他人事か)





2009、11・13 UP