a ray of hope ―11―















すやすやと眠る傍らのミュウ。

呼吸するたびに膨らむお腹を見ていると自然に表情が柔らかくなる。



空にぽっかり浮かぶ月。

また、この屋敷に戻ってこれるとは思っていなかった。









「…何ぼんやりしてやがる」

「アッシュ」



ベットに座って窓の外を眺めていたらいつの間に入ったのか、アッシュに声をかけられる。

「…俺、ほんとに戻ってきたんだなと思って」

言いながらアッシュを見る。







自分を受けいれてくれた人。



自分を迎えに来てくれた人。







静かに立って向かい合うように。



こうしていると本当に鏡みたいだ。

アッシュの髪が降りているから余計に。









でも、鏡じゃない。







俺たちは。











しばらく何か考えていたようなルークが口を開く。



「…抱きついて、いい?」



拒否されるかもしれない。

そんな思いからルークの瞳はゆらゆら揺れていた。

それでも。

ここにいることを、感じたい。



アッシュは何も言わず、腕を差し出した。まるで来いとでも言うように。



ゆっくりゆっくり近付く。



アッシュの服に触れて、背中にそっと腕を回して。

アッシュにさわれる。

嘘じゃない。夢じゃない。





相手の腕もまた背に回されるのを感じ、幸せで泣きたくなる。

ほんわり広がるこの気持ち。



好き。







好き。











自分と同じで違うこの人が。











「好き……」





肩に顔を埋めて溢れでる想いを紡ぐ。









俺は、レプリカだけど。



アッシュの、レプリカだけど。









「アッシュ…」



見つめる、見つめられる。







顔が近付いて、そして。











やっと。









分かたれた二つは一つへと。











END




お付き合いありがとうございました!





2007 7・27 UP