「おー! 今日はアイスかー!!」
目をキラキラさせて(お前はいくつだ!)メイドが運んできたアイスを見つめる。
それに答えるようにメイドは返事を返した。
「お味はバニラ、チョコレート、紅茶、コーヒー、クランベリー、梨を用意してございます。
何になさいますか?」
「……多すぎだろう」
アッシュは思わず突っ込んでしまった。
いつもはあって3,4種類だ。どう考えても全種類食べることなどできない。
メイドが言うには、どうやら料理長がより美味しいアイスを作ることに成功したとかで、お披露目だそうだ。
……それにしても、多い。
ちらと横を見るとルークはそれはそれは嬉しそうにどれにしようかなぁとにこにこしている。
「梨のアイスって食ったことねぇ! アッシュは?」
「りんごはあるが……梨はないな」
というか目にしたこともない代物だ。
「アッシュもないのか〜。うまいのかな? 料理長が出すくらいなんだからうまいんだろうな」
納得したものしか出さないことで有名な料理長が出す料理やデザートにルークは絶大な信頼を寄せている。
アッシュもそうなのだが。
「よしっ決めた。俺は……梨とバニラとクランベリーにする!」
「……3種類は食いすぎだ」
「え〜いいじゃんか〜。なぁ?」
メイドに同意を求めるな。そして頷くな!
「おおおぉぉ、美味しい!!」
「そうか…そりゃ良かったな……」
テンションが上がりまくったルークはより目を輝かせてぱくぱくアイスを口に運ぶ。
冷たくないのだろうか。
自分は紅茶アイスを選んだが、甘さの中に程よく紅茶特有の苦味がありかなり好みだ。
ルークの緩みまくった顔を見て、
まさかと思うが自分もあんな顔をしているんじゃないか……と危惧するアッシュだ。
しかしそのルークの顔があまりに幸せそうで、緩みまくっている顔も注意する気も失せる。
……もし自分の顔が緩んでいるとしてもそれはアイスのせいだ、ということにしておこう。
(お前が幸せそうで、嬉しい、だなんて。言ってやらねぇ)
2009、9・15 UP