「みゅ?ご主人様?なにしてるですの?」
「ミュウ」
ミュウに気付いていなかったルークは振り向いて少し驚いたあと、ミュウを手招きした。
「ミュウこっちきてこれ見てみろよ」
「はいですの」
ちょこちょこ歩いてルークの元へ、さらにぴょんと跳ねて机の上に乗った。
そして目に入ったのは木でできた大きな箱。
「みゅ?」
「あーお前の大きさじゃ箱の中は見えねぇか」
首を傾げた(というか全身に近い)ミュウの体をひょいと持ち上げる。
「みゅ!すごいですの!いっぱいですのー!おいしそうですの!!」
箱いっぱいに入っていたのは様々な種類のキノコだった。
キノコが大好きなミュウは目を輝かせて耳も落ち着きなくパタパタさせている。
「ローズさんが送ってくれたんだ。この間エンゲーブ行ったろ。
そん時にもうすぐキノコが収穫どきだって言ってて、その時期に来たらミュウに食わせてやれたのになって言ったら……」
こうして大量に送られてきたという訳だ。
ローズは「おやまぁ、それなら収穫したら真っ先にルークさんちに送りますよ。
それにしてもうちみたいな1農家が公爵さまの屋敷にお届けしていいものかねぇ」
と笑いながら言っていたからルーク自身送られてくるだろうなぁとは思っていた。
ラムダスにも届く旨を伝えて準備万端待っていたがまさかここまでの量とは……。
とてつもなく申し訳ない。次エンゲーブに行くとき何か持っていこう。
「おいしそうですの……。食べちゃダメですの?」
ミュウが目をキラキラ輝かせて期待たっぷりに見上げてくる。
今にも箱に飛び込みそうなミュウに笑って「いいぜ」と箱の中から数個掬いミュウの前に置いてやる。
「3時のおやつだから少しだけな」
「ありがとうですの!」
耳をパタパタ動かして全身で美味しさを表現しているミュウは本当に嬉しそうだ。
全身で美味しさを表すミュウを見ながらローズさんに持っていくお礼は何がいいだろうかとルークは考えつつもこのキノコは全部ミュウにやろうと心に決めた。
自分やアッシュが無理して食べるよりも、こんなに美味しそうに食べるミュウに食べてもらった方がキノコにとっても幸せだろう。
……うん、それがいい。
むしろ全部ミュウにやろう。
最初からミュウに食べさせてやりたいというところから始まった話なのだ。問題ない。
もくもくと食べ続けるミュウの頭を撫でながら、そんなことを考えていたのだった。
箱いっぱいのきのこ……キツイ…(ルークの内心)
2011、8・31 UP