「暑いー…! あちぃ……。氷出してくれジーニアス!」
「え? 別にいいけど……いきなりだね、ロイド」
唐突に氷を強張るロイドにちょっと驚いた様子を見せながらも、
ジーニアスはアイシクルを応用して氷の小さな塊を作りロイドに渡す。
すぐに順応して渡すあたりロイドがするいきなりのことに慣れている感が漂う。
それを口に放り込んでコロコロと転がし、満足そうにロイドは笑った。
「つめへー。あいがとな! ジーニアフ!!」
……言えてない。
「あーーーっ!! いいなぁ! 俺にも! 俺にも氷くれっ!!」
「ええ? ルークも? いいけど……どれくらい?」
「でっかいの!!」
これぐらい! とルークが動作で示すのは大人がやっと抱えられるかどうか、という程大きかった。
大きすぎじゃない? というジーニアスにこれくらいが欲しいんだ! と譲らない。
まぁ、大きくても小さくてもジーニアスにとっては簡単なので要望通り大きな氷を作ってルークに渡す。
「ルーク、そんな大きいの食えないじゃねぇか。どうすんだよ?」
ごくんと氷を嚥下して不思議そうにロイドが首を傾げる。
となりでガイとクレスもどうするんだ? という表情だ。
「ふふん、俺は凄いことを思いついたんだよ。
ガイ! ちょっとこれ持ってあっちに立ってくれ!」
「ええええぇぇ……。凄い嫌な予感しかしないんだが……」
ガイの手にガラスの器を2つ渡す。(どっから出したんだよ!)
それをこちらに少し傾けさせて「よし!」とルークはご満悦だ。
「クレスー。ちょっとこの氷の下の方持っててくれねぇか?」
「え? あ、あぁ。いいよ。……っと、結構重いね、これ」
ことの成り行きを見ていたクレスはいきなり名指しされて驚いたもののしっかりと氷を抱える。
ジーニアスは自分が作り出した氷をどうしようというのか興味と不安がない交ぜになったような心地だった。
反対にロイドはこれからどうなるんだろうと期待でいっぱいの様子だ。
「ルーク、どうすんだよ? それ」
「まぁ見てろって。行くぜ! ガイ!! しっかり受け止めろよ!!」
全員の頭上に疑問符が浮く。
受け止める……?
「烈破掌!!」
「ええええぇぇ!?」
声を上げたのはジーニアスだ。
クレスは目の前で氷が弾け飛んでいてそれどころではないし、
ましてガイは……。
「よっしゃ! うまくいったぜ!!」
「な、なにが!?」
喜んでガッツポーズをするルークに、半分以下になった氷を抱きながら呆然と呟く。
いや、目の前で説明もなく烈破掌をブッ放されれば誰でも驚くし訳も分からない。
「ほら! 見ろよ!!」
すい、とルークが指差す先には、氷まみれ……というか雪を頭から被ったようなガイが。
顔なんて雪(仮)で覆われてしまって息もできないんじゃなかろうか。
ガイにばかり気を取られている面々に、ガイじゃなくて、とルークが言う。
「ほら、かき氷!」
「「かき氷!? どこに!?」」
「手だよ、手!! 何のためにガイに器持たせたと思ってんだよ〜」
そこ!? そこなの!? ガイが持つ必要はあるの!? とクレスとジーニアスの思いは一つになった。
が、ロイドは違ったようだ。
「すっげーー! かき氷になった! 凄ぇなルーク!!」
「だろ!? やっぱ暑いときはかき氷しかねぇって!」
違う方向で同意している2人は食べる気満々でシロップを取り出した。(だからどこから出したんだよ!)
その後、かき氷を一気にかきこみすぎたルークが頭を抱える事態になり、
クレスが「かき氷で、こおルーク!」と発言したことによりブリザードが吹き荒れた。
ファンダム2、2周年おめでとう小話〜。
ここまでギャクテイストになるとは……思いませんでした。笑
2009、6・30 UP