「じゃ、つぎはおれがオニだな!」
「よっし! ぜったいつかまらないかんな!」
「なんだとー! いーち、に〜い」
「わっちょっと待ってよ〜」
きゃっきゃと楽しげに走り、転げ回るルーク達を見て思う。
平和だ。
この上なく。
髪の長いルークが髪の短いルークを追いかける。
捕まえかけては失敗し、あと一歩の所ですり抜けられる。
元が同じからなのか、いつも二人の鬼ごっこは平行線を辿ることが多い。
「くっそ〜ちょろちょろ逃げやがって!」
悔しそうに言うが、表情は楽しくて仕方がないとばかりに輝いているものだから、
見ている者にとっては微笑ましいことこの上ない。
「っよし! つかまえ……わっ!?」
髪の短いルークの肩に触れかけた髪の長いルークがいきなり地面に沈む。
一心不乱に逃げていた髪の短いルークがそれに気づいて振り返って驚いたように走りよった。
「どっどうした!? 転んだのか? ルーク? だいじょぶか?」
ルークが膝を付いて顔を覗き込もうとするが、もう一人のルークの髪は長くて表情を隠してしまう。
するといきなり髪の長いルークは心配そうにする髪の短いルークに満面の笑みと共にパッと飛びついた。
「ルーク、つかまえたっ!!」
その勢いを受けとめ切れなかった髪の短いルークはもう一人のルークに押し倒されるようにぽてりと後ろに倒れた。
一瞬何が起きたのか分からなかったようで、目をまんまるにする。
「つーかまえた、つかまえた〜」
髪の長いルークはご機嫌で歌(っぽいもの)を歌う。
ぽかんとしていた髪の短いルークがゆるゆると表情を変えていくのが見えた。
「ずるい! ずるいぞルーク!」
「ずるくねぇもん、引っかかったルークがわるいんだよ」
ぷくりと膨れたルークの両頬を両手で挟むと、ぷひゅっと空気が抜ける音がした。
その音を聞いた二人はおかしくて堪らないとでもいうように笑い合っている。
さっきまでむくれていた髪の短いルークも、だ。
あぁ、子供って何でも楽しいと思うことができるんだな。
地面に座り込んで顔を寄せ合う二人は何か相談しているようだ。
次の遊びでも考えているのだろうか。
二人はいきなり立ち上がって、くるんっとこちらを向いた。
そしてダダダーっとこちらに走ってくる。
なんだ。今度は競争か?
……と、暢気に考えた俺が馬鹿だった。
「「アッシュ、つかまえたーっ!!」」
……だから。
二人いっぺんにぶつかってくるんじゃないと、言っているだろうが。
二人のルーク話はあれっきりだろうな〜と思ってたのに…笑
こうして書いちゃった自分がいます。
2009、5・20 UP