「ルークきょうは何してあそぶ?」

「何する?ルークはなにしたい?」



2人のルークは冷たいオレンジジュースを飲んで足をゆらゆらさせながら相談した。



「おれは泳ぎたいなぁ〜」

「あー、暑いもんな〜」



短髪ルークがストローでジュースをかき混ぜるとカラコロと涼しげな音がした。

グラスの周りについた露がつぅっと滑っておちる。



「でもおれたちだけじゃ海に行けないし……」



小さくなったルーク2人だけの外出は禁じられている。

かつての軟禁とは意味合いは異なり、単に危険だからということだ。

……いきなり小さくなり、しかも2人に増えたから。



幼いだけでも安全だと言いがたいのに、2人に増えた(分裂した)レプリカなんて前代未聞で狙ってくる輩が後を絶えない。

そんな物たちはアッシュに完膚無きまで叩きのめされているわけであるが、2人はそんなこと知る由もなく。





でも2人とも以前のルーク(分裂していなくて17歳サイズの)時の記憶があるので旅の途中で経験した水泳をやりたくて仕方ないのだ。





「う〜ん……でも泳ぎたいよなぁ……」

「あっ! おれいいこと思いついた!!」

「なに?」



長髪ルークはにまっと笑ってちょいちょい短髪ルークを手招きして内緒話をする。

「……でさ、………て、…………じゃね?」

「おぉぉ! ルークあったまいーっ!!」

「だろーっ!!」



そうして椅子から飛び降り、手に手を取って大喜びし母屋にかけていった。











「アッシュー! およごーっ!」

「遊んでーっ!!」



どかーんと扉を開けて(ちなみに蝶番が弾けとんだ)意気揚々とアッシュを誘う。

2人ともばっちりタオラーで、浮き輪装備姿。



その勢いと格好に一瞬呆然としたアッシュは手にしていた書類を引き出しにしまってから、

深〜いため息と共に言葉を搾り出した。





「なんて格好してんだ、お前ら……」





邸内で、水着。頭痛がする。

この屋敷のどこで泳ぐ気だ。

そう言うと「「お風呂で!」」という返事が返ってきた。

どうやら浴槽に水を張って泳ぐ算段らしい。



いや、子供らしい発想はいいんだが……。



「水着で歩き回るな」



両手を引っ張られ遊ぼうと誘われその格好に呆れながらも注意は怠らないアッシュだった。



「そもそも風呂に水張ったとして、泳ぐのはともかく浮き輪は必要ねぇだろうが」

「えーだっておよぐなら水着にうきわがないと!」

「ふい……じゃない、フンイキでないじゃん!」



と、いう訳でアッシュも遊ぼう!

やたらキラキラ輝く2対の目で見つめられるが、アッシュとしてはかなり……いや、激しく遠慮したい所だ。



「……2人で遊んでこい」

「「アッシュも一緒じゃなきゃヤだ!!」」



あくまで、しかもかなり本気で3人で遊びたいらしい。

ルーク’sの本気は嫌というほど知っているアッシュはどうしようかと頭を抱えたくなった。

しかし風呂で水着を着てきゃっきゃと遊ぶ、のは……ちょっと……色々あれだ。

プライド的な何かが……大変なことになりそうだ。













結局妥協に妥協を重ねて(眉間にぐっさり皺を刻みつつ)着衣のまま見守ることにしたアッシュだったが、

彼がルークたちに大量の水をかけられたかどうかは……ご想像にお任せする。

















「こっ…の、屑どもがぁぁあああ!!」





2009、8・18 UP