うっかり過去に







ザオ遺跡へ向かう途中、オアシスでその事件は起こった。



「うわっ!?」

「いてっ!!」





「「「「「…………は?」」」」」







上からルークが降ってきた。それもルークを下敷きにして。



「っつー…、ってここどこ…」

頭を押さえながら顔を上げた落ちてきたルークの動きが固まる。

目も前で気を失っている髪の長い自分。

「……え?」

きょろ、と周りを見渡せば驚愕している顔、顔、顔。



「なーーっ!ふがっ!?」

特大の大声を出しそうになったのを慌ててガイの手が塞いだ。

「おっ落ち着け!ルーク!ってルークなのか?とりあえず落ち着け!」

ふごふご言っているルークだったが次第に落ち着きを取り戻したのか、ガイの手を軽く叩いて離させる。



「あの……ル、ルーク…?」

ティアがまさかという表情で問いかけてくるのを落ちてきたルークがどうしようという顔で見ている。

「髪が短いが……ルーク、なのか?」

「……(俺はどう答えたらいいんだ)」



どうしたらいい、どうすれば。

ぐるぐる回る思考で唯一の希望かもしれなくもない人物に目をやる。



「ジェ、ジェイド」



「なんですか?」





ああもうなんだよその笑顔!!





「…助けて、下さい」











とりあえずケセドニアまで戻って(オアシスは暑いし、色々具合が悪いし)話すことにした。

目覚めない髪の長いルークはガイがおぶってきた。



宿の一部屋に入ったらガイが誕生日やら親の名前、はては俺とガイにしか分からないことを聞いてきた。

俺が間違いなくルークだ、と確信したガイはなんとも妙な顔をした。



「ガイ?」



その表情は何だ?



ぽすり、と頭に手をのせられる。

そのままぐりぐりぐり。



「…ガイ?」





一体何がしたいのかさっぱり分からない。





「髪は短いし…頭撫でても逃げないし……。でもルークなんだよなぁ」

「あ」

そっか俺撫でられんの恥ずかしくて逃げてたんだっけ。



「そろそろいいですか」



傍観していたジェイドが声をかける。

ああ、と答えてガイが部屋から出て行く。部屋には俺とジェイドだけだ。

「さて。なぜ2人きりなのかお分かりですか?」

「他の人に聞かせたくないことがあるからだろ?」

「………いいでしょう」







「単刀直入に聞きましょう。あなたはルークのレプリカですか?」



「……」







…っつーかその笑顔は何だよ。





「………ジェイド」

「はい?」

「お前分かってんだろ」



「おやおや、何のことですか?」

「…ま、いいや。うん、俺はレプリカだ。でもあの『ルーク』のレプリカじゃない。あれは過去の俺。もう…気付いてるんだろ?俺のこと」



胡散臭かった空気が霧散する。肌がぴりぴりする。

ふぅ、と溜息がジェイドから出る。額を押さえながらちらっとこちらを見て。

「…貴方の口から聞くとは予想だにしませんでしたよ」



うん。俺も過去にくるなんて思わなかった。





「過去…ですか」





「で、ジェイド。どうしたら俺戻れるのかな…?」

「ちなみにルーク。こちらに来る前、向こうの私はその場にいましたか?」

「…?うん、一緒にいたけど…」



どきどきする。これで戻れないなんて言われたら立ち直れねぇ…。



「では残念ながら分かりませんv

「嘘だぁぁっ!その顔!絶っ対!うそだっ!!」



「ルークー?」

「すみません嘘ですごめんなさい」



こ、怖いから。マジで。



「私が何もしなくとも、向こうの私が何とかするでしょう」

さらっと言われたことに、はっとする。

「そ、そうだよな!大丈夫だよな!」

「さぁ?」



「〜〜〜〜ガイィィィっ!!」



もう訳が分からなくなってきて親友の姿を探すべく扉を蹴破った。







「……レプリカ、ですか…」



苦々しいジェイドの声は届くことはなかった。











どたどたどたどたっ

「ん?何の音……って、ぐはっ!」

ガイに猛烈タックル。ちょっと痛そうだったけど今はそれどころじゃない。



「ル、ルーク?どうした?」

「うぇぇぇ…ガイィィィ……」



どうにもこうにももう不安に押し潰されそうだ!!





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突発SS。続く…かも…?←続きました。





2007、8・7 UP