うっかり過去に 3
「って……」
「ん?どうしたルーク?いつもの……頭痛か?」
心配してくれるガイに弱々しい笑みを向けて痛みに耐える。
『…っの、屑がぁぁああっ!!』
「いってーーっ!いきなり怒鳴るんじゃねぇっ!」
『黙れ屑。てめぇ…今どこにいやがる!』
あー…皆が(主にガイとナタリア)アッシュに頼んでくれたのかぁ。
帰ったらお礼言わなきゃ。
『聞いてやがるのか!?屑!』
「あーもう屑屑言うな!ただでさえこっちは頭痛いっつうのに。俺、過去に来ちまった」
『……………………あ?』
間が長すぎませんか、アッシュさん。
「だから、過去」
『……とうとう頭まで劣化しやがったのか?』
ムカつく。
「んな訳ねぇだろ」
『……ちょっと待ってろ』
仲間たちと会話しているのだろう。
微かにナタリアの声が聞こえる。
まぁ、あれはこのことだったのですわね。
あーそういえばあったね!アニスちゃん超びっくりしちゃったもん。
そうね、驚いたわ。
『……何のことを言ってやがる』
あー……あれかぁ……どうする?旦那。
ふむ……そうですね。放っておきましょう。
『……は?』
そのうち勝手に帰ってきますよ。
『……だそうだ、屑』
「はぁぁああっ!?なっ、何だそれっ!?」
『時間がたてば戻れる。以上だ。ったく手間かけさせんじゃねぇ』
その言葉を最後に回線は切れた。
「ええぇぇ〜……」
それだけ?それだけなのか?
ってか皆焦ってなくね?あ、そうか。あいつらにとっては過去にあった出来事だから、か。
……ん?じゃあなんで俺その記憶ないんだ?
「……ルーク?」
あ、やべ。こっちのガイのこと忘れてた。
「ん…えーと……なんとか帰れる、みたい…?」
「そ、そうか」
ガイは何がなんだか、という表情を浮かべていたが聞いてほしくなさそうな俺に苦笑するだけで、何も聞かずにおいてくれた。
ほんと、いいヤツだなお前。
涙でそう。
2008、1・17 UP