新しいくつ。

ピカピカのそれを履いて外に出るときの気持ちといったら!



でもそんな気持ちをブチ壊すヤツがいる。

そいつのせいで何度悔しい思いをしたかわからない。



「いて〜……」



靴擦れ。

俺は、コイツが、だいっきらいだ!!

何の断りもなく勝手にできやがって!(?)





地団駄踏みたい気分なのに、そんなこと考えただけで痛くて、できやしない。





ムカつく。



あーマジでムカつくっ!





地面に座って膨れていたら俺がついてきていないことに気づいたアッシュが振り向いて、少し目を見開いたようだった。



肩に担いでいる荷物を揺らしながら(申し訳ないことに俺の分も入ってる)近付いて、俺の目の前で片膝をつく。



「痛いのか」

「……うん」



そうか、と言って休憩の準備を始めるアッシュをみて申し訳なさと情けなさに襲われる。

たかが靴擦れで。

あぁ、俺、足手まとい……だ。



せっかくアッシュが荷物まで持ってくれたのに。

うう、なんか……。









「そんなに……痛ぇのか」



え?





「……」





何も言わずに手を伸ばしてくるアッシュ。

な、なんだ?

痛い?そりゃ痛ぇけど……?



「泣くほど、痛いんだろう?」



泣くほど……?

…あ。





ほろりほろりと零れたものがアッシュの指に優しく拭われる。

今の今まで気付いてなかったことを指摘されて、鼻の奥がツンとする。

胸の奥がきゅうっとなってしまう。



違う、違うよ。

痛いけど、でも。







「ひっ…く……ぅぇっ、ちがっ違く、て」







アッシュの手がしゃがみ込んだ俺の頭を撫でる。



あぁ、そんなにやさしい表情で柔らかくおれにさわらないで。

いま、やさしくされたら。だめ、だ。





「……っう、ぅわあぁぁん!!」





泣いちまうだろ……。



「あ…っあし…ひっく、いてぇ、けど、ちが、違くてっ」



足じゃないんだ。違うんだよ。



わかって。あ、でもわかって欲しくない、かも。

なんかもうどうしようもなくて、ぼろぼろ涙が出る。







引き寄せられたアッシュの胸はあったかかった。

















痛いけど、情けなくて、の方が大きい。
そんなときに優しくされたら。




2009、5・16 UP