a ray of hope ―3―















『ルーク!ルークなのですね…!』

暖かな腕に包まれる。

『母は、母は信じていました…!』









『……ただいま、戻りました』





『もう一人のルーク、はどうした』

『……』

















「戻りました、か」

戻るつもりなどなかったのに。

ファブレ公爵家…いや、世界に。



「お前は、これで満足なのか?」





レプリカ―。











こんこんこん。

「失礼しますよ」

コツ、と音をさせ青い軍服を纏った人物が入ってくる。

「…何の用だ」

「お前が一番よくわかってるだろ?」

ジェイドの後ろから続いてガイが入ってくる。



「……ちっ」





「ごしゅじんさまはどこにいるですの?」

ボク、会いたいですの…。

ガイに抱えられていたミュウがアッシュにちょこちょこ歩いていく。



「………みゅ?」

あれ?という感じでミュウの動きがとまる。







「では、とりあえず現在の様子を説明しましょうか。―ガイ」

「…はいはい。説明させて頂きますよ。えぇと…まず……アッシュ、なんだな?」





「…少なくとも俺の意識は、な」







帰ってきた人物はどちらともとれる容姿をしていた。

もともと同位体で同じ外見の二人の唯一、違ったところ。

その髪の色がアッシュでもルークでもない色…言うなれば混ざりあった色になっていたのだ。



「そうか。ま、今のは確認だ。…今日はお前達の成人の儀が行われていた」

「成人の儀…だと?」

馬鹿な、と呟いたのをジェイドは見逃さなかった。



「やはり、ですか。アッシュ、今日はND2020・ローレライデーカン・レム・48の日なんですよ」

「あれからキムラスカとマルクトは名実共に友好国となってる。問題は山積みだが…」

ガイが苦笑する。







「あれから…1年と少し経過しているのか……。レプリカ達はどうなっている」



「キムラスカとマルクトそれにローレライ教団がレプリカ人権保護協定に署名して保護してる。ダアトの近くに街を建設中だ」





「……」



「では、次はこちらの疑問に答えて頂けますか」

アッシュは溜息をついて腕を組んだ。

「俺に言えることは何もないと思うが。俺よりジェイド・カーティス、お前の方がよく分かっているだろう」

「私に分かることなど一部にすぎません」



赤い目に真剣な光が宿る。



「私はフォミクリーを生みだし結果レプリカという存在をつくってしまった。

完全同位体がどうなるか―理論上は理解しています。しかし理論は理論でしかない。

実際どうなるかは私にはわからない…情けないことではありますがね。

あなたは…いえ貴方達は一人の゛ルーク・フォン・ファブレ゛になった、と考えてよろしいですか?」





二人の視線が…突き刺さる。

悪意がこもっている訳ではない。それだけ真剣なのだ。









「……違う」





「…?」





「俺が誰だ、と問われればアッシュだと答える。ならレプリカと一つになったのか、違う…俺は………」



く、と小さく呻いて頭を押さえる。

「アッシュ!?」

深く鈍く頭の奥。







「ぐ…また、か…っ」





しばらくすると痛みは治まっていく。

「…今日はもうやめよう。明日、また来るよ」



ガイがジェイドを促して部屋を出ようとする。





「……よく考えなさい。今あなたに必要なのはそれだけです」

そう残して去っていった。





何を考えろというのか…。





そう思いながらも引きずられるような眠りに抗えず、落ちていった。











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最終決戦から1年と1ヶ月後であってますよね…!?

私、ずっと3年後だと思い込んでたんですが、攻略本みたらなんと旅で時間経過してました…(わお)

ジェイドは何か分かりかけてるみたいです。曖昧な事は口に出したくないから出さないだけで(笑)



2006、6・28 UP