brightly shines ―1―















「ユーリ」



宿の窓から外を眺めていたユーリはその声に振り向く。



「ルークか。なんだ?」



ルークが歩いてきて同じように窓から外を見る。

改めて思う。こいつの髪長いな、と。最もユーリ自身も男としてはかなり長いので人のことを言えた義理ではないのだがこれほどの長さを見たのはルークが初めてだった。

ルークの身長はユーリより幾分低い。本人が気にしているようなので口には出さないが。



「……ユーリは……」





少し躊躇ったように口を開いて、詰まったが意を決したようにまた口を開いた。



「ユーリはどうして一緒にくるんだ?」

「どうしてって……お前。お前が一緒にきてくれって言ったからだろ」



うん、とルークは頷いたが少しも納得してはいない様子だ。



「確かに言ったし、来てくれて、う……う、うれしい、けど、だって……」

「まぁなお前が変に思うのもわかるぜ。俺だってなんでかって言われると分からねぇし?」

「わかんねぇのかよ……」

「ま、放っておけないからってのが一番だと思うぜ」



ルークが体ごとこちらを向いたのを視界の端に捕らえる。

じっ、と見ているようだ。探るとかそんなのではない。

ただただ不思議という感じで。









ユーリがルークと会ったのは砂漠のオアシスだった。

ルークは見るからに旅慣れておらず更に足元も覚束ない様子で集団の最後尾を歩いていて気がついたら話かけていたのだ。

あんた大丈夫か、と。



それに驚いたような顔をして「なっなんだよ、いきなり! 平気だっつーの!」と強がっていたが、

「平気そうに見えないから言ってんだ」と重ねて問うと「うっ」と詰まる。



「ちょっと大丈夫じゃねぇけど……平気、だ」



そんな強がりに溜息をついた。

これが最初の出会いだ。









それがきっかけでルークのことがなんとなく気になり、

ルークの請いもあったのでザオ遺跡に行くのだという一行についていった。

そしてますます放っておけなくなったというのが本音だ。



「逆に聞きたい。どうしてルークは俺についてきてくれって言ったんだ?」

「……んなの、わかんね」







だろうな、とユーリは思う。





もっともユーリにはなんとなく理由は分かっている。不安だったのだ、ルークは。

聞けば7年間外に出られなかったのだという。さらに10歳以前の記憶がないとも。



それは生まれてこのかた外の世界と接しなかったことと同義だ。

世間知らずで我がままな、見た目よりうんと子供の心を持つルーク。

見た目は当たり前だが17歳前後に見える。

ただ行動がそれに伴っていない。



周りとの距離の取り方がわからず怒らせてしまっては不貞腐れ……そんな悪循環。



唯一ガイにはありのままでいられるようだが、それでも軋轢は生まれてしまっていて。

どうにもこうにもそんな状態で放っておけなかった。





「まぁ、いいんじゃないか? 旅は道連れっていうだろ」

「……ユーリがいいんなら、いい」



そう言ってふいっと顔を背ける。



そっぽを向いて小さな声で礼(らしき何か)を呟いているルーク。

ほんと、素直じゃないな。





「別にたいしたことしてないしな。…さ、もう寝ろ。明日はかなり歩くらしいから」

「……ん」



こくりと頷くルークの肩をポンと叩いてユーリもまたベットへと向かった。







ま、もう少し一緒にいてみようか?

















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ルークのアンバランスさが気になる。





2009、12・7 UP