brightly shines ―2―
「ルーク様! ……ユーリ!?」
「フレン!」
もうすぐでアクゼリュスというところでルークにとってもユーリにとっても予想外の人物と出会った。
「どうして君がここに……いや、それは後でにしよう」
小さく頭を振ってルークの方へ歩み寄り白光騎士独特の礼を取る。
「ルーク様、遅くなりまして申し訳ありません」
ルークはえ? と首を傾げた。
見るからに何が? と疑問符をプカプカ浮かばせている。
「俺が呼んだんだ、ルーク」
「ガイが?」
ルークがくるりと振り返ると一歩後ろにいたガイが微笑み、そしてフレンに近づいていく。
「フレン。早かったな」
「まったく、色々な手順を飛ばすはめになったよ」
「悪い」
ガイがフレンの甲冑の肩部分をコツンと叩く。
その姿を仲間たちはぽかんと口を開けてみていた。
「え? え? どういうこと……?」
アニスが双子? と呟いてそっくりな二人を見る。
そのアニスの反応にルークは皆が動揺していると気付いてフレンに自己紹介するよう促す。
「申し遅れました。私は白光騎士団のフレン・シーフォと申します。こちらのガイとは御覧の通り双子です」
「双子……ですか。しかしファミリーネームが違いますね。ガイはセシルでしょう?」
ジェイドが訝るように疑問を口にする。
「私はシーフォ家の養子になりましたので」
「や、ややこしい……」
実はもっとややこしいのだが、別に言う必要もないので黙っておくようにガイに耳打ちされた。
よく分からないがガイがそう言うならそうなのだろう。
こくりと頷いてなんでここに来たのか尋ねる。
「アクゼリュスの人々が多数逃げ遅れているらしいと連絡を受けまして参りました。
聞けばマルクトの街道は瘴気が濃く救助は困難とのこと。
本来なら救助にキムラスカ兵が赴くべきなのですが、それではマルクトの民に誤解を与えかねませんので……。
ファブレ公爵が我々白光騎士団にお命じになりました」
「そっか、父上が……」
「はい。私は先にルーク様にお知らせするため先行して参りました。白光騎士団は明日に合流できるかと」
それなら合流してから共に救助に行ったほうが得策かもしれない。
「なら……今日はこの辺りで休もう。いいか、イオン、ジェイド?」
「私はかまいませんよ。アクゼリュスには信託の盾騎士団の先遣隊もいますし一緒に行った方がむしろいいでしょうね」
「そうですね、僕もいらぬ諍いは起こしたくありません」
おや、とユーリは思った。
導師イオンはともかく……ジェイド、こいつなんかルークに対して態度が軟化してねぇか?
「じゃ決まりだな!」
にかっと笑ってルークはフードを外して外套を脱ぐ。
腰に下げた道具袋からミュウを出して地面に下ろしてやった。
「今日はここでキャンプだ。あんま遠くに行くなよ」
「はいですの!すぐ戻りますの〜」
自分の晩御飯を探して(自分の分は自分で取ってくると言ったので)駆けていくミュウをちょっと心配そうに見送ってルークも準備を始めた。
各々野営の準備を進め、一段落したのは少し日が傾いて周囲の色がほんのり赤く見えるころ。
お茶を飲んでいるとティアが近づいてくるのが視界に映ったのでルークはなんだろうと思ってそちらを見た。
「あの……導師イオン、ルーク」
「ん? なんだティア?」
「どうしたんですか?」
隣でお茶を飲んでいたイオンが小さく首を傾げる。
「私、先にアクゼリュスへ向かおうと思います。許可を頂けますか?」
「え……なんで?どうせ明日つくじゃん」
「そうなのだけれど。信託の盾騎士団にルーク…キムラスカの親善大使と導師イオン、
それに白光騎士団が明日到着することを伝えておいたほうがいいんじゃないかと思って……」
それらの言葉を頭の中で反芻する。
悪いことではないように思えたのでガイにちらっと視線を送るとお前の好きにしたらいい的な雰囲気だったのでこくりと頷いた。
「そっか、うん、いんじゃね?」
「そう……ですね。ではお願いします、ティア。くれぐれも気をつけて」
キャンプを離れるティアをユーリは木に寄り掛かって見ていた。
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(少しは周りとの距離を覚えた……ようだな)
2009、12・20 UP